リリーのすべて

風景画家のアイナー・ベルナーは、肖像画家の妻ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに自身の内側に潜む女性の存在を意識する。それ以来「リリー」という名の女性として過ごす時間が増えていくアイナーは、心と身体が一致しない現実に葛藤する。ゲルダも当初はそんな夫の様子に戸惑うが、次第にリリーに対する理解を深めていく。


久しぶりに感想を残しておきたい作品でした。


リリーを演じたエディ・レッドメインの美しさと儚さと痛々しさ、
1920〜1930年代のファッションに引き込まれる。
そして、改めて映画独特の繊細な"音"に魅力を感じた。


肌に触れる音。洋服を撫でる音。布が擦れる音。ヒールの音。


「自分らしく生きる」ことは、私の永遠の課題である。
いつでも、何かが枯渇しているのを感じながら生きているし
そして大切な人には「あなたらしく居ること」を願って来た。


気付けば、ゲルダを自分に、アイナーを恋人に置き換えて観て居た。
愛する人との子供を作れないこと。
愛する人が居なくなり、よく顔の似たリリーがいつの間にか隣に居ること。
その時、私は「愛する人が自分らしく生きている」ことに幸せを感じられるだろうか。

★★★★★